人生に打ちのめされたけど、人間やってます。

人生の空白期間をこの1年として、その中で考えることを書き綴ります

絶望した時こそ人と話をすることの大切さがわかった話

20日晴れ。

今日は睡眠薬を服用せずに3時間寝た。朝方5時頃に気を失うように眠りにつき、8時のアラームで気持ち悪さと共に起きた。

この日はキャリタスのエージェントとの面談があった。前回落ちた企業の募集を紹介してくれたところだ。

選考結果のメールを見て絶望に打ちひしがれて、「紹介してくれてありがとうございました」なんて気取った返信をした数分後に、不格好に泣きながらすがるようにメールを送った。就活のサポートをしてくれないかと藁にも縋る思いで頼んだ。

そうするとすぐに日程の調整が出来て、すんなりと面談の予約が取れた。

起きた時は眠気と気持ち悪さで行きたくなかったけれど、ここでベッドに沈んだままだと何も変わらず部屋で泣いてるだけの私が簡単に想像できた。その自分を振り払うようになんとか気合いで起き、薄いメイクをして、不安を和らげてくれるという漢方を急いで飲んで家をでた。

駅近のコンビニに入ると朝から店員のおばちゃんがとても笑顔で丁寧に接してくれた。まさかおばちゃんもこんな人生に絶望している人間を接客しているとは思うまい。だがそんな人間には、たとえ仕事上の接客でもうれしく思えた。ありがとう、おばちゃん。とても元気を貰えました。

そうやってちょっとしたことに感動して、のんびりとコンビニを出ながら時間を見ると電車到着ギリギリの時間になったから慌てて階段を駆け下りて電車に飛び乗った。

電車にはリクルートスーツとベージュのトレンチコートを着た就活生が沢山乗っていた。その姿がなんとなく輝いて見えた。

 

キャリタスに来社すると、とても感じの良いエージェントの人が出迎えてくれた。電話でもメールでも、親身になってくれたからいい人だなとは思っていたけど、実際に会うと思っていた通りの人だった。

マイナビ新卒採用の担当者が死んだ目をした信頼できそうにない若い男性だったから余計にギャップがすごかった。やっぱり、本当に頼りになるかどうか、信頼できるかどうかっていうのは言葉や雰囲気で伝わってくるものだと感じた。

 

キャリタスでは軽いアンケートに答えて、改めて面談をした。

この前採用に落ちてしまった企業のことも話した。

最後の最後まで悩んだけど、結果駄目だったそうです。とのことを、また直接言われたけれど、ダメージは少なかった。むしろ「あはは、そうですね。残念でした、本当に」くらいの強がりは言えた。むしろメールに書いてあった淡々とした文章を見た時の方がつらかった。あれはぐっと心に来た。

私の要望はどんなものか、とか、どういった職業を希望しているかとか、いつもの質問に答えているときもエージェントの人はものすごく真剣に相槌を打ってちゃんと聞いてくれた。

世間に打ちのめされて、絶望している人間が、まともに社会で働いている人と会話をするとやっぱり「差」というものを感じてしまうのだけれど、そういった絶望している時こそまともな人と話をして自分の思考をクリアにしていく事が大事なのだと思った。

エージェントの人はちゃんと職業を紹介してくれると約束してくれたし、私が今抱えている悩みについても実体験を交えながらちゃんと答えてくれた。

四六時中メールが来て、携帯を横において寝ているという。自分も極度のスマホ中毒だが、四六時中仕事のメールが来るスマホなんて、勢い任せに窓から放り投げてしまいたくなる。それでも、学生の就活のサポートをして「おかげで就職出来ました」と言われるととても嬉しいという。

本音と建前がちょうど半分に混ざったようなことを言ってくれたが、素直に凄いなと思った。これが社会人なんだと感じた。

こういう暗い闇の底にいると、他の人がまともで輝いているように見えるけど、実際はみんな歯をくいしばって社会で耐えている。全てが理想通りじゃないけれど、やらなきゃいけない。そうやってみんな生きている。

そういう風に私はなれるだろうか。

まだ、分からない。

 

エージェントの人は、ハローワークに行くことを薦めてくれた。情報源は多ければ多いほど良いと教えてくれた。

午前中から面談に行って、そのあとは時間が空いているから、ハローワークに立ち寄ることにした。

面談が終わってエレベーターに乗って、何気なくビルに入っている会社の名前を見た。その一つのなかに、以前勤めていたバイト先の先輩が現在勤めている大企業の会社の名前があった。かなり給料を貰っていると前に教えてくれたから大変うらやましく思った。先輩はかなり出来る人だったから、こんなでかいビルで働ける人は本当に限られた人だけなのだなとも同時に思った。身の丈を知ることも時には重要だ。

 

人生で初めてハローワークに行った。

 

ネットでしか見たことが無い文字だ。

「ハロワ行け」無職同士がお互いを罵倒する文言でしか見たことが無かった。

既卒3年目のフロアは自分が想像している以上に若者であふれていた。リクルートスーツを着ている人や、私服の人、本当に私と同じ年代の人たちがたくさんいた。

今まで、孤独で、仕事を探しているのは自分だけのような感覚に陥っていたから、似たような境遇の人はたくさんいるのだと思うと安心した。

面談を受ける時には、もちろんアンケート用紙やら面談用紙に答えた。まだ卒業式は迎えていないが、自分の面談用紙に既卒のハンコが押されると、とても悲しく思えた。

自分は一切何も変わっていないのに、これからは新古車みたいな扱いを社会では受けるらしい。社会の波に乗り切れず、打ちひしがれて、でも無様でもいいから社会にどうにか入っていこうとしているのに、新古車扱いだ。なんて無情なものなんだろう。

でも社会は驚くべき処女厨だから、入社する年数が少し違うだけで、「おまえ非処女だろ」なんていう差別をしてくる。ひどいやつだ。本当にひどいもんだ社会ってやつは。

新卒の人と一体何が違っているのか分からなかった。

卒論を出すか出さないかで迷っている時期があったから、その時に思い切って計画留年をしなかった自分をものすごく責めた。いまごろ卒業をしたくないと言ったら、大学は認めてくれるだろうか。卒業証書を受け取らなければ、まだ大学に在籍しているということにはしてくれないんだろうか。

 

そんな思いを面談までの待ち時間ぼんやりと考えていたら、自分の番号を呼ばれた。郵便局で順番待ちをしている時のあの感じと全く一緒だった。

面談してくれる担当者の方は、感じのいいおばちゃんといった感じだった。

会って数秒しか話していないけど、なんでも相談に乗ってくれそうな優しい雰囲気があったし、実際にそうだった。

居場所もやる気も目標もない私に、「何月までに内定取りたい?」とかちゃんと目標を与えてくれて、毎週来てほしいと目をまっすぐ見て言った。

都合のいい時間帯を聞かれて今までは午後を選択していたけど、「ちゃんとした人間」は朝から活動しているので「午前が都合がいいです」と答えた。ほんとうにほんとうに小さいことだが、自分の中では確実に進歩していた。

今日は軽い面談だけで、来週から本格的に始めてくれるという。

私が書いてあった趣味の欄を見て、自分も同じ趣味だと言ってくれた。ちなみに野球観戦が趣味だ。超絶インドアなのに野球観戦の時は東にも西にも足を運ぶ。

私はヤクルトファンで、おばちゃんは阪神ファンだった。「なかなかコアなところが好きだね」と言って「阪神今年のオープン戦はダメなんだよね」と自虐した。私は苦笑いした。実際昨シーズンはヤクルトが2位で、阪神は最下位だった。でも、あんまり阪神ファンを刺激をするといけないから黙った。

でも、私の周りには阪神ファンが多い。というよりヤクルトファンにはめったに会わない。どこに隠れているんだかしらないが、本当に会わない。

他球団ファンにはよく出会うが、特に阪神ファンは多い。阪神ファンを惹きつける縁があるのかもしれない。

大学2年の時に好きになった人も阪神ファンだった。今でもちょくちょく遊んでいる。

人生で何度も阪神ファンに出会うのも何かの縁だと思った。

話がそれてしまったので、話を戻す。

 

人生に本当に絶望して何もしていないのに涙が出てくるような真っ暗な週明けを過ごした。

企業に断れるたびに社会から「お前なんかいらないんだよ!」と無言で言われているような気にもなった。本当に自分が無価値な存在のように思えたし、周りと比べると劣っているような気がして自分を責めた。

でも、今は、また性懲りもなく社会に入ってやろうと思い始めている。

自分の話を聞いてくれる誰かがいるだけでも、心強かった。

相談相手がいるというだけでも人は救われるらしい。

ハローワークを出た時は、重かった心が今朝よりも軽くなっていた。

 

家までの帰り、ガラガラの電車の中でオードリーの若林が書いたエッセイ「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を読んだ。心が落ち着いた。自分と似たような人がこうやってメディアで活躍をしていると思うと不思議な気持ちにもなったが、こうやって自分の感情を作品として共有してくれたことが有難かった。どこにも救われない気持ちを代わりに本を通して伝えてくれるような気がした。

本を読んでいる時に、母親からラインが来た。その時に、「ちゃんと就職の面談に行ってきた」と言うことを伝えた。

母親の前で泣いたり、部屋で一人で死にたいとばかり言っていたから、安心させるためにも言った。

去年の今頃からちゃんとやっていればと思うけれど、人よりも学ぶペースが遅いから仕方がない。母親は行ったことを褒めてくれた。少しは安心してくれただろうか。分からない。でも着実に前に進もうとしている。

 

最寄りの駅のエレベーターに乗っている時に鏡を見た。

目の重さが無くなって、生気を取り戻しているように見えた。

今朝は憂鬱そうな重い目をしていたと思う。

自分の気持ちはちゃんと良い方向に変わっているのだと、信じたい。

人よりも遅くて、出来が悪いが、今日も必死で生きている。

ずっと返せずにいた大学の就活課へのメールも返信できた。

自分をほめたい。

少しづつ、少しづつ、前を向いていきたい。

いきなり向いてしまうと、心がぽっきり折れてしまいそうだから、ゆっくりと人の手も借りつつ進んでいこうと思う。

 

ちなみに今日は神宮でヤクルトと阪神の試合があった。

試合は阪神に圧倒的なリードを許しており、ヤクルト投手陣は阪神打線のバッティングピッチャーのようになっている。

ハローワーク阪神ファンのおばちゃんに苦笑いをしたあの時の自分を殴ってやりたい。

でも、どんなにだめでも、ずっと応援するからな。がんばれヤクルトスワローズ

そして私もがんばろう。どんなに燃えても、燃えカスから這い上がってやろう。